『泥の国のアオ』

田舎の村に住む少年・アオは、毎日泥だらけになって帰ってくる。大人たちは「またどこかで遊び回ってるんだろう」と笑うが、アオは何も語らない。クラスメイトたちも彼を少し怖がっていた。
だがアオが入るのは「誰にも見えない泥の国」だった。学校の裏山のぬかるみを越えると、そこには喋る獣や、泥でできた城、そして泥の魔女が待っている。アオは彼女に選ばれし「境界の使者」だったのだ。
ある日、泥の国と人間の世界の境界が崩れ始める。アオは泥の魔女と人間の町の狭間で、選ばなければならない——自分の居場所とは、どちらなのか。